室内塗装で使用する水性艶消し塗料 の汚染除去性能比較試験

まず最初にこの試験をしようと思ったキッカケについてお話します。

弊社は年間5~6棟の新築内部の全体塗装工事を施工させて頂いています。
引渡し前は他の工事の人が付けた汚れ、引き渡し後は施主様が汚した汚れのタッチアップや手直しを行う事が多く、タッチアップせずとも誰でも簡単に汚れを落とせる塗料は無いかと考えていました。

それと同時に自分の娘が重度のアレルギー体質という事もありホルムアルデヒドの影響を少しでも抑えられるよう低VOCも重視した塗料を選び試験する事にしました。

少し長くなりますが最後まで見て頂けると幸いです。

比較テストに使用した塗料

内装用塗料 耐洗浄性試験 対象塗料

 
 関西ペイント クリーンテックスSi(EP-Si)

 関西ペイント アレスエコクリーンマット(AEP)

 日本ペイント 水性ケンエース(AEP)

 日本ペイント Hiビニフレッシュセラ(EP-Si)

 エスケー化研 セラミフレッシュIN(EP-Si)

 エスケー化研 エコフレッシュクリーン(AEP)

 大日本塗料 COZY PACK(AEP)

 ロックペイント ビニロックV.O-Ⅱ (AEP)

 スズカファイン AEPクリーン70G(AEP)

 スズカファイン AEPモダンSi(EP-Si)

以上10種類の塗料をテストしました。

※以下文中にて塗料名称を記載せずに①~⑩としていますが、上記の一覧の順番ではありません。

臭気チェック

これは自分の感覚でなので参考程度になります。

臭い(する>しない)

 
 低VOC ⑥>⑦>>⑧ >>⑩
 超低VOC ①>③>④>⑨>⑤>>②

 ④はわずかにツンとする臭い
 ⑤はわずかにミルクっぽい臭い
 ⑨はわずかに酸味がある臭い
 ④.⑨.⑤.は大差ないが特徴はある 
 ⑥.⑦はかなりツンとする
 ②と⑩はほぼ無臭
 それ以外はまぁ臭うなって感じ

 ⑩が低VOCながらほとんど臭わなかったのがビックリしました。
 ②以外の超邸VOCのものより臭いがなかったです。

塗料の粘度

 
 ③.⑧の2つは少し重たい
 ⑨は少しシャブい
 それ以外は多少差はあるがほぼ同じ

試験体作成素材と道具

大塚刷毛の「水星」を使用し、あらかじめカチオンシーラーで下塗りしたプラスターボードへ塗装

塗装終了日時2025/1/9 17:00

1日目は5℃を下回らないように暖房をかけた部屋で保存し15日間寝かせる

内装用塗料 洗浄性試験 乾燥中

汚染除去性能実験開始2025/1/24 10:00スタート
開始前サンプル確認

内装用塗料 洗浄性テスト 検体確認

⑨だけ艶がおかしい事に気づくがとりあえず今は放っておく

内装用艶系塗料テストで明らかに艶が異なる検体

汚しに使用するもの

左上:醤油
左下:コーヒー
右上:水性マジック
右下:煤汚れを手垢風にしたもの

内装用塗料の汚染洗浄性テストに用いるもの

拭き取り方法

中性洗剤を水で20%希釈
5分後に洗剤付きウエスで拭き取りその後乾拭きする

内装用塗料の汚れ落ちを確認する様子

5分後拭き取りの結果

内装用塗料塗布面を汚して5分後拭き取りした結果

 

醤油

コーヒー

マジック

煤手垢

塗料①


塗料②

塗料③

塗料④

塗料⑤


塗料⑥

塗料⑦


塗料⑧

塗料⑨

塗料⑩

3時間後拭き取りの結果

内装用塗料塗布面を汚して3時間後拭き取りした結果

醤油

コーヒー

マジック

煤手垢

塗料①

塗料②

塗料③

塗料④

塗料⑤

塗料⑥

塗料⑦

塗料⑧

塗料⑨

塗料⑩

3時間後拭き取り結果の拡大写真

内装読塗料 洗浄性試験 検体1

内装読塗料 洗浄性試験 検体2

内装読塗料 洗浄性試験 検体3

内装読塗料 洗浄性試験 検体4

内装読塗料 洗浄性試験 検体5

内装読塗料 洗浄性試験 検体6

内装読塗料 洗浄性試験 検体7

内装読塗料 洗浄性試験 検体8

内装読塗料 洗浄性試験 検体9

内装読塗料 洗浄性試験 検体10


試験を終えて

やってみて思った率直な感想

まず驚いたのが5分での拭き取りでほとんどの塗料が醤油に対しての汚染除去機能が高かった事。
反対に水性マジックはどれも落とせなかった。

3時間後の拭き取りでは5分では落ちた醤油もほとんどの塗料が落とせなかった。
塗膜が溶けて色がウエスに付いてきたものもありました。
それでも汚れが落ちないという事は汚れが内部まで浸透しているとわかります。
他の汚れも5分では落ちたのに3時間後には落とせなかったものが殆どで、ついた汚れはなるべく早く除去するのが大事だとわかります。

汚染除去性能だけで見ると

⑧.⑨.⑩番が高い性能を示しましたが、⑨だけ3分艶ぐらいあるのでこれは反則ですね。恐らくタッチアップも効かないでしょう。艶消しEP塗料の汚染除去性能の試験に1人だけドーピングしてるので失格でいいでしょう。
ちなみに⑧も少し底艶を感じます。色によってはタッチアップ跡が目立つかもしれない。

結果どれがよい性能を示したのか

材料代、臭い、粘度、VOC量、艶、汚染除去性能をトータルで考えると個人的には⑩が1番かなと思います。


今回は以上になります。
これからも気になる事をどんどん試験して行きたいと思います。
最後まで見て頂きありがとうございました。


.
記事提出者:株式会社 希塗装

タイトルとURLをコピーしました