シーリングのプライマーを異なるメーカーのプライマーで代用した場合、密着に影響が出るのか。
シールを3種類、プライマーを5種類用意して密着を検証してみた。
ついでに、外壁用エポキシシーラーはプライマーの代わりになるのかも実験した。
■ 試験体の作成と材料の準備
まずは、サイディングを用意。
窯業系サイディング t=14。

これを60×120にカット。

別の検証も同時進行するために80セットの160枚作成。
カットした後は目地幅が10mmになるようにビスで固定。

マスキングテープを貼って、このあとプライマー塗布後シール充填。

シールは以下3種類
・「オートンイクシード」オート化学工業
・「ドライサラ」シャープ化学工業
・「MSシーラントNBプレミアム」東郊産業

プライマーは以下5種類
・「OP-2019」オート化学工業
・「P-50」シャープ化学工業
・「TKプライマー」東郊産業
・「ボンドシール#7」コニシ
・「ハイパーシーラーエポ」ロックペイント


塗装屋さんなら一度は考えた事がある外壁用シーラーでもシールプライマーの代用イケるんじゃないか?も試してみた。
それぞれのサイディングの断面にプライマーを塗布。
(後述するが、テストのため断面の左右で別のプライマーを塗った試験体もある)

検体完成。
プライマー塗布後、90分経過してから充填開始。
1人で作ってるので、充填するまでに最後のほうの検体はプライマー塗布後3時間程度経過しているが、その程度なら密着に差は出ないでしょう。

■ 自作引っ張り試験機による判定
検証するにあたり、結果としてどのような状態になれば、「シールとプライマーは密着している」と言えるのか、または「密着していなかった」と言えるのか。
まずはその定義について。
目視での「破断」状態で判別する。
大きく分けて2つ、「凝集破壊」と「界面剥離」。
両者ともシールがその性能を失い破壊される状態で、
「凝集破壊」は主にシールそのものの性能が限界を迎え、破壊される状態。
「界面剥離」は被着体とシーリング材の界面で剥がれること。
「凝集破壊」の場合はシール材のポテンシャルを出し切った上で限界を迎えて破壊されている。
「界面剥離」はシール材はまだまだ伸縮する余地があるにもかかわらず、その寿命を迎える前に「別の要因の何か」で界面から剥がれてしまう。
では、別の要因の何かとは?
主にシールの幅や深さ不足、3面接着、プライマーの塗布量不足など。
簡単に言えば、「凝集破壊」が起きているのであれば、シールとプライマーは密着していると言える。
凝集破壊を改善させるにはシールそのものの性能や耐候性を向上させるしかない。
塗装で「凝集破壊」を遅延させるにはシールを化粧で打つのではなく先打ちして塗膜を乗せ、シールを紫外線から保護することくらいではないだろうか。
もう1つ、「界面剥離」の場合は、前述したように複合的な要因で起こる可能性がある。
しかし、今回の検証では2面接着で、サイディング目地幅10mm、深さ14mmなので、「界面剥離」が起きるとしたら「プライマーに問題がある」可能性が高い。
つまり各試験体で引っ張り試験を行い、「凝集破壊」が確認出来れば、そのプライマーは性能を充分に発揮している可能性が高い。(サイディングの種類やプライマー塗布量、インターバル等もあるので、一概には言えないが)
逆に「界面剥離」がみられるのであれば、シールとプライマーの密着は少なからず不安定ということになる。
シーリングを自社で施工しない会社にとっては、「凝集破壊」と「界面剥離」の違いをイメージしにくいと思うので、次の動画を観ていただきたい。
A社、B社ともに、専用プライマーを塗布したものであるが結果が異なる。
↓ A社シーリング材「凝集破壊」
↓ B社シーリング材「界面剥離」
個人で作った引っ張り試験機であり、引っ張ったミリ数もノギスを連動させることで測っていて、不安定で誤差も出ているだろうし、試験結果の信ぴょう性は決して高くはないが、密着の善し悪しの判断材料くらいにはなるだろう。
ということで、試験体はA~Oの15体を用意。
左右のサイディングの断面にそれぞれ異なるプライマーを塗布することにより(もちろん両隣に付かないようにダメ込みで)引っ張った際に接着の弱いほうの被着体から界面剥離するのではと思われる。

シーリング材とプライマーの組み合わせは以下の表の通り。
背景色が同じものは同じメーカーとしたので、A、B、C と J、K、L は左右とも純正プライマーとの組み合わせである。

そして、引っ張った結果は次の通り。
「破断開始」はシールが破壊され始めるおおよそのmm。
「破壊状況」とは目視で凝集破壊なのか界面剥離なのかを判断した結果。
「界面剥離の状況」とは、左右どちらの断面から剥離したのか。
マウスを乗せると(タップすると)上の表に切り替わるようにした。▼▼▼
引っ張った結果をまとめると、
専用のプライマーと同程度の密着をしているのもあれば、密着低下になっているのもあった。
外壁塗装などで使用する弱溶剤2液形のエポキシシーラーを代用した場合は、シールによっては密着するが、全体的にあまり良い結果ではなかった。
驚いたのは、J、K、Lのプライマーを少なめに塗布した検体で、全て著しい密着低下に繋がった。
少量とはいえ、純正プライマーをちゃんと塗布したにもかかわらず、これだけの密着不良が起こるとは想像していなかった。
ちなみにどれくらい少なめに塗布したかと言うと、ひと刷毛プライマーを刷毛に付けて少しネタを切り、長さ120mmの両断面に一筆書きで塗れる限りこすって伸ばした。
これは破断開始が早まっていることからも、
「プライマーの塗布量不足」は著しい密着低下に繋がるのではないかと思われる。
また、シールだけの密着性能で言えば、
B、F、G、K、N、で使用しているドライサラが優秀。
Kのプライマー少量はさすがに界面剥離だが、
その他は3種のシールの中で唯一全て凝集破壊になった。
■ 結論
組み合わせによっては明らかに密着していないのもあったので、社外のプライマーを使うのは避けたほうが良さそうだ。
どのプライマーとシールが密着に問題ないのか考えるくらいなら、しっかりと適正プライマーを用意し、使用したほうが効率的で安心安全ということになる。
特にJ、K、L、の結果からみても、プライマーの塗布量にはかなり気を配って不足しないように塗布しなければならないと感じた。
今回の検証で使用したサイディングは「新品」だが、塗り替え時のサイディングは少なくても10年程度は経過しており、新品よりも断面が比べ物にならないほど劣化していて、吸い込みも桁違いなはず。
リフォーム現場で既存シールが界面剥離している主な要因はこれじゃないか?と思うくらいの密着差だと思った。
ご覧になってくださった皆様も「プライマーの塗布量」は問題ないか今一度職人仲間と見直すきっかけになれば幸いです。
最後に、引っ張った後の断面の写真は以下。






























シーリング引っ張り試験後の板:左から撮影

シーリング引っ張り試験後の板:右から撮影

引っ張った際、どのように破壊されるのか気になる方は引っ張った動画を載せておくので良ければご覧ください。
今後は、
「シーリングの上に塗膜を乗せる際に「シーラーを塗らないほうが割れにくいのか?」
「上塗り回数を増やせばシール上の塗膜は割れにくくなるのか?」
「通常硬化剤と弾性硬化剤でシール上の塗膜の割れにくさに違いはあるか?」
「シールの乾燥時間によって、その後のシール上の塗膜の割れに違いはあるか?」
を検証予定です。
最後まで見ていただきありがとうございました。
.記事提出者:丸信塗装