新設の木材や木部の塗り替え時に塗装をするにあたり、サンドペーパー等で素地の調整をすると思いますが、今回は素地調整の方法でどれくらい浸透型木材保護塗料の吸い込み量が変わるのかをテストしました。
テストに使用するのは3000mm×105mmの杉材を三等分にカットした物です。
◆素地調整は何もせずそのままの未処理の板。
◆#100のサンドペーパーを装着したダブルアクションサンダーで研磨した板。
◆mokリバブラスト処理をした板。
の3種類です。
※「mokリバ」とはブラスト工法のひとつでメディア(研削材)に桃の種のチップを使用し、木材表面に噴射して研磨する工法です。
塗装前のそれぞれの板の重量は
素地調整未処理
1128g ↓

#100 サンダー掛け処理
1204g ↓

mokリバブラスト処理
1207g ↓

これらの杉板に木材塗保護塗料を塗布し、素地調整が未処理の物、サンダー掛けした物、mokリバブラスト処理した物に塗った浸透型木材保護塗料の吸い込み量の違いを確認してみようと思います。
3枚の杉板にローラーでたっぷり均等に塗装。↓

通常外部に使用する木材を拭き取る事はないですが、今回の実験では木材にどれほどの量の塗料を吸い込むのか
を知る為に20分程度放置し、表面に残った余分なネタをウエスで拭き取った物がこちらです。↓
左から順に未処理→サンダー処理→mokリバブラスト処理
何も処理していない板は拭き取ったらずいぶん色が薄くなりました。
サンダー処理、ブラスト処理は木材表面が粗されているので早材部分にしっかり塗料が吸い込んでいます。
それでは塗装後の重量を計量してみます。
まずは未処理の板 ↓
1128g→1128g
1g以下は計測できないのでわかりませんが重量は変わらず。

次いでサンダー処理の板 ↓
1204g→1206g 2g増えました。

続けてmokリバブラスト処理した板 ↓
1207g→1210g 3g増加。

1回目の塗装では、
未処理の板=変化なし
サンダー処理の板=2g増加
mokリバブラスト処理の板=3g増加
という結果になりました。
一晩乾燥させ翌日
2回目の塗装を行う前に塗装前に重量を計量しました。
未処理の板 1133g ↓
前日塗装後の重量は1128gだったのに対し5g増加していました。

サンダー処理した板 1208g ↓
こちらは前日1206gでしたので2g増加。↓

mokリバブラスト処理した板 1209g ↓
こちらは前日1210gでしたので1gの減少。

板によって重量の増減があった理由は不明ですが、2回目の塗装をし計量してみます。
前回と同じくローラーでたっぷり均等に塗ります。↓

1時間程放置してから表面をウエスで拭き取った写真がこちら。↓

左から順に未処理→サンダー処理→mokリバブラスト処理
どの板も1回目の塗装と比較すると随分と濃く着色されました。
写真中央のサンダー処理した板はサンダーによって削られ冬目に傷が入っているからなのか、全体的に着色されています。
2回目塗布後の計量をしていきます。
未処理の板 1133g ↓
塗布前1133g→塗布後1133g
変化なし。

サンダー処理の板 1210g ↓
塗布前1208g→塗布後1218g
2g増加。

mokリバブラスト処理の板 1212g ↓
塗布前1209→塗布後1212g
3g増加。

2回塗布後の重量の変化
未処理の板=変化無し
サンダー処理の板=4g増加
mokリバブラスト処理の板=6g増加
素地調整の仕方によって浸透型木材保護塗料の吸い込み量に差が出ることがわかりました。
木材保護塗料を吸い込む=木材の中に塗料が浸透して木材を保護する事に繋がる
とするならより多くの塗料が吸い込みやすくする状況(素地調整)を作り出してあげる事が重要だと考えます。
実際に自分の体感ですが、新設の新しい木材を特に処理せず塗装した場合と、改修工事である程度劣化し、木材表面が荒れた状態になったものを研磨し塗装した場合とでは、
劣化して表面が荒れている木材の方が塗料は何倍も吸い込みますし、長持ちしていると感じています。
これは新設木材は木材のごく表面にしか塗料が浸透していない事に対し、劣化している木材は木材保護塗料をより多く吸い込んでいる為ではないかと考えます。
今回の実験では処理の仕方で塗料の吸い込み量が変化する事がわかりました。
一般的に外壁の塗装等と比べて早い周期でメンテナンスをしなくてはならないとされている外装の木部を少しでも長く保つよう、今回の実験結果も考慮し、素地調整の方法、塗料の選択をして行こうと思います。
[最後に]
処理の方法による表情の違いです。
未処理 ↓

サンダー処理 ↓
#100のサンドペーパーを装着したサンダーで表面を削っているため硬い冬目の部分にも細かな傷が入り、未処理の物と比較して着色も濃くなった印象です。

mokリバブラスト処理 ↓
硬い冬目部分を残し柔らかい春目の部分が掘れて浮造り(うづくり)になっています。色も未処理の板と比べて濃く着色されています。

付記:試験体の1年半経過後

紙テープによる密着試験を行ってみた。

結果
モクリバの板は硬い冬目の部分はアンカー効果が弱いようで
紙テープで冬目部分だけ剥がれました。
サンダーの板は塗装時や経年後の写真見てもわかりますが
冬目もしっかりと色が着色されています。
紙テープでのテストでも剥がれは1番少なかったです。
未処理の板は全体的に剥がれました。



ペーパーやブラスト処理を行う事によって、より塗料が染み込む状態を作ってあげる事で耐久性に差が出る様です。
サンダー等機械研磨が困難な箇所はブラスト処理 もしくは
機械研磨した後に細部を含めて全体をブラストするのが良いのかもしれません。
記事提出者:株式会社 むらせ塗巧舎