シリコン塗料より劣るフッ素塗料がここにもあった。

一般的には、シリコンよりフッソの方が
耐候性に優れていると言われていますが、
今回はその常識が崩れるデータを確認できました。

今回の試験を始めた時点では、
フッ素塗料がシリコン塗料を下回ることはない
だろうと予想していました。

塗料の常識

一般的にアクリル→ウレタン→シリコン→
フッソ→無機の順に耐候性が高くなり、
価格も上がると言われています。

ウレタンとシリコンの価格差は
それほど大きくありませんが、
シリコンとフッソ・無機になると、
その差はかなり大きくなります。

今回比較したシリコン塗料とフッソ塗料も、
色や販売店によって違いはあるものの、
1セットあたり15,000円以上の価格差があります。
外壁2セット・付帯部1セット・
屋根2セットを使えば、
塗料代だけで75,000円以上変わると思います。

これだけ価格差があるなら、
その差に見合う耐候性があるはずだ!
そう考えるのが、
塗料に携わる方の一般的な考えだと思います。

ところが今回の5年間の屋外暴露結果では、
少なくとも光沢については
価格差に見合う結果にはなりませんでした。

この結果を見ると、
これだけ高いフッソを選ぶ意味は
何だったのかと考えてしまいます。
この塗料で施工したお客様には、
自分の塗料を見る目が足りなかったことを
申し訳なく感じています。

塗り板の作成と測定方法

塗料の屋外暴露試験3年後と5年後
試験体はこのように作成しました。
「上1」は上塗り1回塗り、
「上2」は上塗り2回塗りの塗膜で、
中央で塗り分けています。
上塗り1回塗りと上塗り2回塗りで
どれだけ差が出るのか気になったので、
2通りの塗膜を作成しました。

アクリルシリコン塗料の試験板
アクリルシリコン

フッソ塗料の試験板
フッソ

検証する塗膜は、弱溶剤2液形アクリルシリコンと
弱溶剤2液形フッソの2種類で、色は22-85Cです。
素材はアルミ板で、
下塗りには弱溶剤2液形エポキシ樹脂塗料を使用しています。

色褪せ
画像でも肉眼でも
どちらも大きな差はないと感じます。
上塗り1回塗りと上塗り2回塗りの差も
ほぼないように感じます。

光沢計 PG-2
光沢はPG-2で測定しています。

膜厚計
膜厚は錆止めを塗装していない部分で
測定しているため、上塗り塗料のみの膜厚です。
光沢・膜厚ともに3回測定し、
その平均値を使用しています。

22-85C|3年時点では肉眼で大きな差はない

シリコン塗料とフッソ塗料の屋外暴露3年後

塗料 膜厚(μm) 初期光沢 3年光沢 保持率
シリコン塗料A 54.7 82.3 52.7 64.0%
フッソ塗料B 53.3 79.8 57.2 71.7%

3年後の光沢はフッソ57.2、シリコン52.7と
フッソが4.5高い結果ですが、
私にはこの程度の差は肉眼ではほとんど分かりません。

塗膜を拡大

アクリルシリコン塗膜の拡大

アクリルシリコン

フッソ塗膜の拡大

フッソ

デジタル顕微鏡で塗膜を確認。
汚れも付着していますが、
こちらも差はありませんでした。

水拭き後の塗膜
3年後のアクリルシリコン塗膜 水拭き後

アクリルシリコン

3年後のフッソ塗膜 水拭き後

フッソ

塗料 3年通常光沢 水拭き後光沢 初期光沢比(保持率)
シリコン塗料A 52.7 76.9 93.4%
フッソ塗料B 57.2 70.2 88.0%

水拭き後は数値に差が出ましたが、
肉眼で確認した塗膜には大きな差を感じません。

3年後の色褪せや光沢を肉眼で確認しても、
「フッソの方が明らかに耐候性に優れている」と
感じるほどの差はありません。

これまで複数の屋外暴露板を追跡していると、
3年までは比較的安定していても、
4~5年頃から光沢の低下が大きくなる塗膜があるため、
5年後の塗膜を確認します。

22-85C|5年の結果

屋外暴露試験 シリコンとフッ素

塗料 膜厚(μm) 初期光沢 5年光沢 保持率
シリコン塗料A 54.7 82.3 26.0 31.6%
フッソ塗料B 52.7 79.8 20.5 25.6%

3年後の光沢はフッソ57.2、シリコン52.7でした。
5年後はシリコン26.0、フッソ20.5と、
なぜか今度はシリコンの方が光沢を残している・・・(^_^;)

画像でも、フッソは照明の反射が鈍く見えます。

塗膜の拡大
アクリルシリコン塗膜 5年後

アクリルシリコン

フッソ塗膜 5年後

フッソ

水拭き後の塗膜と数値
アクリルシリコン 5年後 水拭き後

アクリルシリコン

フッソ 5年後 水拭き後

フッソ

塗料 5年通常光沢 水拭き後光沢 初期光沢比(保持率)
シリコン塗料A 26.0 31.2 37.9%
フッソ塗料B 20.5 15.9 19.9%

5年後に水拭きして測定したところ、
シリコンは31.2、フッソは15.9。

シリコンは水拭き前の26.0より高くなりましたが、
フッソは水拭き後の測定値が15.9となり、
水拭き前の20.5より低い結果でした。

残念ですが、水拭き後も
フッソがシリコンを上回る結果にはなりませんでした。

5年後に水拭きすると、
塗膜のクレーターが確認できませんでした。
3年後と同じようにティッシュで水拭きしていますが、
おそらくチョーキングの粉がクレーターの中に詰まり、
確認しにくくなったのかもしれません。

次回は高圧洗浄機で洗ってみます。

上塗り1回塗り|5年後の結果

参考として、上塗り1回塗りの5年後も確認しました。

塗料 膜厚(μm) 初期光沢 5年光沢 保持率
シリコン塗料A 32.0 79.9 19.7 24.7%
フッソ塗料B 32.3 79.3 14.7 18.5%

上塗り1回塗りでも、5年後の光沢は
シリコン19.7、フッソ14.7。
膜厚はほぼ同じですが、
こちらもシリコンの方が光沢を残す結果になりました。

それと、
数値を見ていて気になったのが、
シリコン1回塗りで32μmで5年光沢19.7
フッソ2回塗りで52μmで5年光沢20.5って
本当に不思議ですよね。

これはまた違う記事でお話したいと思ってます。

チョーキングの確認

5年後のチョーキング確認
5年後はテープに付着する
チョーキングの粉が増えています。

正直、笑えない結果です。
3年後の比較では大きな差がなく、
5年後の比較でこれはないですよね。

3年後は大きな差がなく、5年で・・・

このフッソ塗料は、茶系でも屋外暴露2年頃から
色褪せや光沢に少し違和感を感じていました。

22-85Cでは3年後、通常測定でも水拭き後でも
肉眼で大きな差を感じませんでした。

ところが5年後になると、
数値だけでなく肉眼でもシリコンの方が光沢を残しているのが分かります。
さらに水拭き後は、シリコン31.2、フッソ15.9。
なぜフッソだけ水拭き後に数値が低下したのか謎です。

これだけ価格差があるフッソで、
5年後にシリコンより光沢が落ちるとは正直思っていませんでした。

今回のテストで
シリコンより光沢が落ちたフッソを確認できたのは、
嬉しいような、悲しいような結果です。

塗料はブラックボックス

塗装直後に艶が良い。
仕上がりが綺麗。
フッソだからシリコンより長持ちする。
促進耐候性試験の結果が良い。
大手塗料メーカーだから安心。
匂いが強溶剤っぽいから期待できる。

もちろん、どれも塗料を選ぶうえで
参考にはなりますが、
私の今までの経験上、
それだけを鵜呑みにして
「この塗料は長持ちする」と判断するのは
危ないです。(経験者なので(^_^;))

今回のように、3年後ではほとんど差が分からなくても、
5年後になると結果が変わることがあります。

実際に屋外で長期間暴露してみないと、
塗料の性能は誰にもわかりません。

塗料選びは悩むと思いますが、
一緒に塗料迷子になりましょう(笑)

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