軒樋アンロッカー改 ~漆と火山灰による防滑・防錆加工~

日塗技研の研究コラムをいつもご覧いただき、ありがとうございます。
現在、沖縄にて首里城令和の復元工事で
絶賛出張中のハマテック 濵田です(2026年2月1日執筆時点)。

はじめに
今回は、私が所有している軒樋アンロッカーに「漆」と桜島の「火山灰」を使って、持ち手部分に防滑・防錆処理を施したオリジナルアンロッカーをご紹介します。

軒樋アンロッカーとは?
詳細は過去記事で発案者の曽根さんが投稿されていますので、そちらをご覧ください。

簡単に説明すると、近年の戸建住宅でよく採用されている宙吊りタイプの軒樋を外すための工具です。メンバーに配布されているアンロッカーは鉄製の丸棒を曲げて作られた無塗装品のため、防錆や滑り止めの工夫を手持ちの素材で施してみました。

加工工程
工程① 先端部分の黒染

先端部分の黒染め

最終的に先端まで漆を塗らないため、先端部分は研磨・脱脂後にガンブルー液で酸化被膜処理を行います。

工程② 持ち手部分への呂瀬漆塗布

持ち手部分への呂瀬漆塗布

生漆と黒呂色漆を1:1で混ぜた「呂瀬漆」をテレピン油で希釈し、薄く均等に塗布します。

工程③ ふるいを使った蒔地(まきじ)

ふるいを使った蒔地(まきじ)

塗布した漆の上に、ふるいを使って粒度#150以下の火山灰を均等に少しずつ蒔いていきます。

この技法は「蒔地」と呼ばれる漆芸の下地作りの手法で、曲線や複雑な形状のものに下地を付ける際に用いられます。

「蒔地」の後の状態

乾燥工程湿度70%以上のお風呂場で2日以上乾燥させます。通常は研磨して平滑にしますが、今回はザラザラした表面で滑り止め効果を得たいため、研磨はほどほどに留めます。

工程④ 地固めの漆塗布

地固めの漆塗布後

蒔地で蒔いた粉体を漆で固める工程です。画像は漆を塗布し、乾燥した状態になります。

工程⑤⑥⑦ 2回目の蒔地と地固め

2回目の蒔地

2回目の地固め

工程②③④を繰り返し、2回目の蒔地と地固めを行います。

工程⑧ 中塗り

中塗り

黒呂色漆で中塗を塗布します。
工程⑨ 上塗り

上塗り塗布後

黒呂色漆で上塗を塗布し、乾燥後に養生を剥がせば完成です。

使用材料について
漆:生漆、黒呂色漆共に箕輪漆行さんにて購入

使用した材料 漆と火山灰

火山灰:年末年始の帰省時に、鹿児島の道の駅でお土産として売られている缶詰を使用

仕様の特徴
漆の塗膜硬度:6H程度と言われてます。

火山灰の成分:二酸化ケイ素(シリカ)などの火山ガラス

ガラスの粒をガラス並の硬度で固めた、非常に硬質な仕上がりとなっています。

おわりに
漆も火山灰もあまり身近な材料ではありませんが、硬度の高い塗床材料や防滑用の骨材など、身近な素材でも似たような加工ができるのではないかと考えています。

素材の組み合わせや工程を考えることは意外と面白いものです。ぜひ、自分だけのオリジナルアンロッカー作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?​​​​​​​​​​​​​​​​


記事提出者:ハマテック

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