ステンレスとアルミに対する密着プライマーの比較

一般的に塗料が付着し辛いと言われているステンレスやアルミニウム等の金属や樹脂製品を塗装する際に塗る事が出来る万能プライマー。
果たして本当に効果はあるのか?
そんな疑問を解消すべく今回は2種類の密着プライマーで実験することにしました。
 
1つ目は「ミッチャクロンマルチ/染めQテクノロジー」
こちらは建築塗装から工業塗装まで幅広い分野で使用されていると思われるプライマーです。
製品カタログには”サンディング不要”(1部素材にはサンディング必要)と記載があります。

2つ目は「エクセルプライマーⅡ/東日本塗料」
こちらも金属から樹脂系、無機系素材まで幅広く対応しているプライマーです。

「ミッチャクロンマルチ/染めQテクノロジー」と「エクセルプライマーⅡ/東日本塗料」

実験に使用するために用意した金属は、ステンレス板とアルミ板です。
ステンレスはオーステナイト系のSUS304
塗装するにあたり身近な物だと軒樋の吊り金具等に使われています。
 
アルミはAl-Mg系合金のA5052
アルミニウムとマグネシウムの合金で、建築用材等に使用されているようです。

これら2種類の金属板それぞれに、#120のサンドペーパーで目粗しを施したパターンと脱脂のみしたパターンを用意し、上記2種類の密着プライマーを塗布。

上半分「ミッチャクロンマルチ/染めQテクノロジー」

「ミッチャクロンマルチ/染めQテクノロジー」塗布

板を逆さにして下半分「エクセルプライマーⅡ/東日本塗料」

「エクセルプライマーⅡ/東日本塗料」塗布

2時間のインターバルを取り、弱溶剤2液型のアクリルシリコン樹脂塗料を塗装。

弱溶剤2液型のアクリルシリコン樹脂塗料を塗布

52時間静置し養生用布テープでクロスカットテストしました。

アルミ:養生用布テープでクロスカットテスト

ステンレス:養生用布テープでクロスカットテスト

テープはニチバン製の布テープ「106GR」を使用し、それぞれのクロスカット箇所に貼りテープを中指の爪で力強く各30回づつ擦り密着させ、思い切りテープを引っ張り剥がしました。

アルミ:養生用布テープでクロスカットテスト結果

ステンレス:養生用布テープでクロスカットテスト結果

テストの結果
ステンレス板の方は足付け有り 無し 
ミッチャクロンマルチ エクセルプライマーⅡ共に、一見すると目立った剥がれは有りませんでした。
しかし良く見ると、足付け無しのパターンはクロスカットしたカッターの切れ目際に少し剥がれが見られます。

ステンレス+ミッチャクロンマルチ:クロスカットテスト結果

ステンレス+エクセルプライマーⅡ:クロスカットテスト結果

JIS規格のJIS k5600の分類によると分類0が全く剥がれがない状態として、カットした交差点付近やカットした付近に小さな剥がれが見られると分類1〜2に該当するのだそうです。
足付け無しパターンだとどちらのプライマーを塗った試験体もカット部分周辺に小さな剥がれがありましたので分類1〜2に該当しています。
それと比べて足付け有りの試験体は、どちらも分類0に近そうです。

アルミ板の方はミッチャクロンの足付け無し、有り両パターンに分類2程度の剥がれがありました。

アルミ+ミッチャクロンマルチ:クロスカットテスト結果

エクセルプライマーⅡの方は足付け有り 無し共にどちらも剥がれは見当たりませんでしたので分類0といった所でしょうか。

アルミ+エクセルプライマーⅡ:クロスカットテスト結果

続いてカタログではエクセルプライマーⅡの上に水性塗料も塗装可能 となっているので、A5052のアルミ板を目粗し、脱脂した後エクセルプライマーⅡをスプレー塗装し乾燥。
その上に水性アクリルシリコン艶消し調塗料2種類を塗り、クロスカットテストしてみました。

エクセルプライマーⅡ+水性塗料の場合のクロスカット試験結果

正直水性塗料についてはあまり期待はしていなかったのですが、結果はご覧の通りどちらの上塗りも良好な結果でした。

しかしそれでは面白くないので少々意地悪をしてみます。
バケツに水を溜め、その中で試験体に沈んでもらう事にしました。
約60時間水没させ、カット部を同様のガムテープで思い切り引っ張り剥がしましたが結果は変わらず意外と剥がれません。

エクセルプライマーⅡ+水性塗料の場合のクロスカット試験結果/60時間没水後

それではこれならどうだと
超硬刃のスクレーパーでガリガリしてみました。

塗装面を超硬刃スクレーパーで引っ掻いてみる

2種類どちらの塗膜もスクレーパーによって薄く削れるだけで、下塗りから剥がれるという事はありませんでした。


結論
[ステンレス SUS304]
・ミッチャクロン エクセルプライマーⅡどちらのプライマーも足付け無しだと少々の剥がれが見られました。
・足付けした場合はミッチャクロン エクセルプライマーⅡどちらのプライマーも剥がれが認められませんでした。

[アルミ A5052]
・ミッチャクロンは、足付け無し 有り共に少々剥がれが見られた。
・エクセルプライマーⅡは足付け無し 有りどちらも剥がれがなかった。
・A5052+エクセルプライマーに水性アクリルシリコン樹脂塗料は剥がれなかった。

今回のテストではステンレスはSUS304を
アルミはa5052を使用し、この様なテスト結果が出ましたが
アルミやステンレスには様々な番手が存在するので、他の番手の場合にはまた違った結果が出るかもしれません。


その後

経年によって塗膜に異変があり付着力が低下する事も考えられますので、試験体を屋外暴露しています。

塗り板暴露状況

南にある庭に45度程度で設置して1年が経過したので前回クロスカットした部分を再度養生テープで引っ張ってみました。
結果はアルミ、ステンレス、共どちらのプライマーもさほど変化がありませんでした。

アルミ板:暴露1年

ステンレス板:暴露1年



記事提出者:株式会社 むらせ塗巧舎

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