外壁サイディングの住宅改修工事現場で使用されている複数のシーリング材の比較です。
最も硬化が遅い外部北側にて、夏と冬に打設して硬化に要する時間と硬化に伴う痩せの具合や半年経過後の汚れについて検証しました。

シーリングの施工後翌日に、「まだ乾いてないなぁ」「もう内部まで硬化してるかな?」など感じた事はありませんか?
今回は当店所在地である千葉県にて、最も硬化が遅れる外部北側において、夏と冬に打設し硬化速度そのを確認した記録になります。
硬化時間は湿度や気温で変化しますので、あくまでも参考程度に見て頂ければと思います。
使用したシーリングは以下の6種類になります。
サンライズ
・SRシール H100
・SRシール S70
・SRシール IRODORI(イロドリ)
オート化学工業
・オートン イクシード
シャープ化学工業
・シャーピー ヘンセイシリコーン NB-LM
・DrySara(ドライサラ)
〇 夏季の硬化時間検証
はじめに夏季のテストです。
(2024年8月30日打設)
バックアップ材を使い10×10㎜の目地を作成して打設してあります。
↓打設後

1日経過後↓





気温も高く湿度もある夏でも流石に1日では内部まで硬化しませんね。
毎日カットしてますが全部載せるのはすごい量になってしまうので完全硬化までジャンプします。






内部完全硬化までの日数は以下のとおりです。
2日目 NB-LM、イロドリ
3日目 H100、S70、ドライサラ
4日目 イクシード
ここで一つ注意点ですが S70 だけ異様に表面硬化が遅く次の日に触る事が出来ませんでした。
ですので翌日養生などは難しいと思いました。
天候次第では埃などの付着も考えられる為、注意が必要ですね。
〇 冬季の硬化時間検証
次に冬季のテストを見ていきましょう。
(2025年1月4日打設)
こちらも結果までジャンプします。






やはり冬は湿度も気温も低い為大分時間がかかりました
6日目 イロドリ、NB-LM
(※NB-LMは若干未硬化有りなので7日判定かも知れません)
7日目 S70
ここから更に遅くなります。
12日目 H100、ドライサラ、イクシード
(※ドライサラとイクシードは若干未硬化がありましたので13日判定かも知れません)
夏でも表面硬化の遅かった S70 ですが冬は更に遅く3日目でようやく触れるかと言った所でした。
表面硬化の早かった物は ドライサラ、イクシードでした
どちらも翌日には触れるほどに硬化していました。
イクシードに関してはシェアが多く多数の方が使われているかと思います。
表面硬化は早いですが内部硬化は極端に遅い為、イクシードに塗装すると塗膜が割れるといった事故は製品をよく理解して無いのも原因では無いのでしょうか?
またドライサラも同様ですので今後注意ですね。
〇 硬化収縮検証
次に硬化に伴う痩せの具合も見ていきます。
これまでの6種類に加え、2成分形のサイディング用シーリング材の代表的製品であるサンスター技研「ペンギンシール MS2570 typeNB」も追加して、全7種類を比較しました。

断面に上から定規を当てて撮っています。







過去の経験では イクシード は痩せが大きかった記憶が有りますが、改良されたのでしょうか?
今回のテストでは1番痩せが少なかったです。
1番痩せたのは2成分形の MS2570typeNB でした。
次いでドライサラ、H100、あとは さほど変わりないかと思います。
ちなみに、痩せの試験体ですが体積が大きければ体積変化も多くなり目視で確認し易いと思い30×30㎜に設定しました。
次の画像をご覧ください。

これは片方にバックアップ材を仕込み充填不足による痩せが起きるのでは?と思い作りました。
が、、、そんな事は無く逆に太すぎると痩せる、と言う事が分かりました。
サイディング目地でこんなに太く深くなる事は殆ど無いですがALCや一部のサイディングなど10㎜以上になる物もあるかと思います。
ただ単に多く充填すれば良いのでは無く適正な量になる様バックアップ材で調整する事が大事ですね。
〇 屋外暴露での汚染性
試験体を屋外暴露したところ汚染に結構な違いが出ましたので付け加えておきます。
水平暴露になりますので過酷な条件下だと思います。
期間は約半年程になります。







画像では分かり難いですが、
1番汚れて無いのは ドライサラ
1番汚れたのが イクシード でした。
ドライサラ は製品の特徴でも有ります様に乾燥後に他に類をみないほど表面がサラサラとしていますので この様な結果になったのではないでしょうか。
イクシード を後打ち・無塗装で使用する場合は注意が必要ですね。
〇 1成分形と2成分形の硬化の違い
大変長くなってしまいましたが、最後におまけです。
MS2570typeNB、いわゆる2成分形・2液型のシーリングですが、夏は翌日には50㎜でも内部まで硬化、冬でも2日あれば完全硬化します。
また、「硬化剤」では無いですが 1成分形変成シリコンのペール缶に「硬化促進剤」を入れて使用して、2成分形の様に硬化するのか?確認した結果、表面硬化は早まるが内部硬化は若干(冬で1日程度)早まる程度でした。
このことから「硬化剤」と「硬化促進剤」とでは似て非なる物だと分かりました。

冒頭にも書きましたが、あくまでも個人の試験結果であり、全ての状況下で当てはまるとは限らないと思われるため、その旨ご了承ください。
最後まで閲覧ありがとうございました。
記事提出者:江澤塗装

