トタン屋根塗り替えに適した研磨材は何か比較検証

塗装をするにあたり、塗る対象物の汚れやサビ、チョーキングと言われる表面の粉化物等を除去する「ケレン」「研磨」という工程があります。

表面がツルツルの物に塗装をした場合と、表面を研磨材で研磨した場合とでは その上に塗った塗料の密着性には差が出ます。

これは極端な例ですが、この動画の様に研磨未処理の面は研磨した面と比較した場合、密着性に差が出ます。

実例をあげます。
下は他社での塗り替え工事から5年目だという写真で、150㎡の屋根の全体がこんな状態です。

5年で剥がれた屋根の塗装

5年で剥がれた屋根の塗装のアップ

今剥がれていないところを残して塗り替えた場合、後になって残したところから剥がれてくる恐れがあって迂闊に弊社で塗り重ねると責任転嫁されかねません。
かといって、真面目に塗られていない既存の塗装を全部剥がすのは途方もない手間がかかります。

よって、「塗り替え」ではなく「葺き替え」をおすすめしました。

ケレン・足付けを省いた ただ塗るだけのその場しのぎの粗末な塗り替え工事は、施主様に多大な損害を与えることになります。



弊社でのトタン屋根の塗り替え工事では電動工具による足付け・研磨を標準としています。

(※以下は上の写真とは別のお宅です)

今回はカラーガルバリウム鋼板を塗装するにあたり、4種類の研磨パッドを試してみました。

トタン屋根ケレン各種研磨材

使用するパッドは上から

◆日研 ランダムサンダー用不織布8穴 125mm #120
https://store.shopping.yahoo.co.jp/kougukeikaku/4979717589312.html
1枚あたりの値段¥637

◆サンマイト セラミックディスクV 125mm 穴あり マジックテープ シリーズ粒度 # 80
https://www.protoolshop.net/index.php?repitem=10343
1枚あたりの値段¥62

◆コバックス スーパータック マックスカット φ125mmマジックディスク 穴有 #80
https://store.shopping.yahoo.co.jp/paint-depot/125-80.html
1枚あたりの値段¥55.8

◆コバックス スーパーアシレックスレッドK-120 ディスク(120番) 125mm 穴ナシ
https://store.shopping.yahoo.co.jp/toryouhanbainoomise/190000038o.html
1枚あたりの値段¥61.6


研磨パッドの比較感想

1.日研ランダムサンダ用不織布ディスク
基材自体に柔軟性があり表面のチョーキングは取れるが足付けの観点から見ると傷は付きにくい。
不織布の為かボロボロになっていく。

2.サンマイト セラミックディスクV#80
番手が80番という事もあり傷はよく入るがハゼのエッジの部分が微妙に盛り上がっているので、その部分の鋼板が削れすぎてしまう。
使用しているうちにディスク外周部分の研磨材が消失しやすい。

3.コバックス スーパータックマックスカット#80
サンマイトと同じく80番で傷もよく入るが、どうしても盛り上がった部分は傷が入り過ぎてしまう。
ディスク外周部分の研磨材が消失しやすい。

4.コバックス スーパーアシレックスレッドk-120
ディスク基材がフニャフニャとしたフェルト状。
表面のチョーキングの落ち具合と傷の入り具合のバランスが良く、ハゼのエッジ部分の盛り上がりも他と比較して削れにくい。
しばらく使っても減りやすいディスク外周部分の研磨材も脱落しにくい。



まとめ

今回、研磨の当たり具合と耐久性、スピードのバランスからコバックス スーパーアシレックスレッドk-120が優れていると感じました。
またこのディスクペーパーはランダムサンダで使用し研磨力が落ちた物も、ケンマロン等の不織布研磨材にくっ付けて、手ケレンで再利用できる点も良いなと感じました。


おまけ

今回比較した対象はカラーガルバリウム鋼板屋根なので、鋼板自体に波打ちや凹みがある為、通常のサンダー+研磨ディスクでは波打ちの凹み部分に当たり難いので、サンダーと研磨ディスクの間にはクッション材として10ミリのクッションパッドを挟み使用しました。

HWXINIE 曲面研磨アダプター 125mm 4枚入 サンダー専用柔らかいクッションパッド 8穴 耐衝撃性マジックパッド 凹凸
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BW5BZFY5/ref=cm_sw_r_cp_apip_22qCLc9ckRHlE

これを挟む事により波打ちにも追従しやすくなりました。

また、鋼板屋根のハゼ部分(鋼板の重なり部分の隙間)は、これらの物では研磨出来ないので、
ハゼ部分は宮城県石巻市の阿部塗装店さんに頂いたこちらの研磨ブラシを使用しました。
これを使用する事により、ハゼ部分にも確実に研磨する事ができます。


最後に

冒頭の写真・動画・実例からも分かるように、足付け 研磨作業はその上に塗る塗装の密着性に大きく影響があります。

塗ってしまえばわからなくなる地味な作業ですが、「足付けに勝るプライマーは無い」を念頭に置いて作業していきます。
(もちろんプライマーも重要です)



記事提出者:株式会社 むらせ塗巧舎

タイトルとURLをコピーしました