新品のケイカル板と状態が良くない改修時のケイカル板で塗装密着のテストを行った。
【1】新品のケイカルでの塗装密着試験
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新品のケイカル板への塗装(14通り)
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①下塗:なし
上塗:水性エバーロック 2回
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②下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ 1回
上塗:水性エバーロック 2回
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③下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ 2回
上塗:水性エバーロック 2回
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④下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ 3回
上塗:水性エバーロック 2回
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⑤下塗:なし
上塗:エバーロックネクスト 2回
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⑥下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ 1回
上塗:エバーロックネクスト 2回
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⑦下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ 2回
上塗:エバーロックネクスト 2回
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⑧下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ 3回
上塗:エバーロックネクスト 2回
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⑨下塗:ハイパーシーラーエポ 1回
上塗:水性エバーロック 2回
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⑩下塗:ハイパーシーラーエポ 2回
上塗:水性エバーロック 2回
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⑪下塗:ハイパーシーラーエポ 3回
上塗:水性エバーロック 2回
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⑫下塗:ハイパーシーラーエポ 1回
上塗:エバーロックネクスト 2回
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⑬下塗:ハイパーシーラーエポ 2回
上塗:エバーロックネクスト 2回
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⑭下塗:ハイパーシーラーエポ 3回
上塗:エバーロックネクスト 2回
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水性、溶剤共に下塗りを1~3回塗布した理由は下記のとおりである。
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水性カチオンシーラーマルチⅢのカタログには、下記の記載がある。
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ハイパーシーラーエポのカタログにも、下記の記載がある。
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ケイカルは「吸い込みが著しい素材」と認識しているので、「ぬれ感」が出る程度まで塗り重ねた。
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下塗りが水性、弱溶剤の場合と、上塗りが水性、非水の場合に密着に差が出るのか検証した。
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下塗り塗布時の「ぬれ感」の差
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水性カチオンシーラーマルチⅢ を塗布した場合
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1 回目
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2回目
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3回目
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以上のように、水性下塗塗料は乾燥すると「ぬれ感」の差は感じられなかった。
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ハイパーシーラーエポ を塗布した場合
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1回目
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2回目
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3回目
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弱溶剤下塗塗料は「ぬれ感」の差が確認できる。
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新品ケイカル板塗装 碁盤目試験
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今回は結果が見やすいように、剥がした後のセロハンテープを黒い下敷きに貼って比べてみた。
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下塗:なし・水性カチオンシーラーマルチⅢ
上塗:水性エバーロック・エバーロックネクスト
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下塗:なし・ハイパーシーラーエポ
上塗:水性エバーロック・エバーロックネクスト
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新品ケイカル板塗装 結果まとめ
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下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ
上塗:水性エバーロック
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の場合は下塗りを3回塗ってようやく密着した。
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下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ
上塗:エバーロックネクスト
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の場合は下塗り1回目からかなり密着していた。
(エバーロックネクストぶっつけでもそれなりに密着していた。)
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よって下塗りに水性シーラーを持っていく場合には、
複数回塗るか、上塗りに溶剤を選定するのが無難かもしれない。
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下塗:ハイパーシーラーエポ
上塗:水性エバーロック
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の場合は1 回目からかなり密着していた。
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下塗:ハイパーシーラーエポ
上塗:エバーロックネクスト
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の場合も1回目から密着していた。
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水性シーラーを複数回塗るくらいなら、弱2シーラー1回塗ったほうが
密着は強く、上塗りも溶剤に軍配があがった。
匂いの問題をクリアできるなら、新品ケイカルには溶剤仕様が無難ではないだろうか。
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別アングル
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最後にガムテープで思いっきり引っ張ってみたら、結構な差がでた。
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下塗:なし
上 :水性エバーロック
下 :エバーロックネクスト
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下塗:水性カチオンシーラーマルチⅢ1回
上 :水性エバーロック
下 :エバーロックネクスト
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下塗り ハイパーシーラーエポ3回
上 :水性エバーロック
下 :エバーロックネクスト
【2】改修時ケイカル板での塗装密着試験
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改修時ケイカル板の既存状態
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改修時ケイカル板は、築26 年経過の某マンション南面隔て板に塗布する。
雨水の影響か湿気によるものか、道路側の側面と下部に既存塗膜の剥離がみられ、ケイカル板自体の著しい劣化もみられる。
剥離箇所の位置的にも吸水や吸湿が原因での剥離の可能性が高く、塗膜をめくってみると黒カビも発生していた。
黒カビ
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ケイカル板は無機物なので、腐食することはないが、吸水すると圧縮成形特有のニチハ パミールでよくみるミルフィーユ現象が起きている。
ミルフィーユ現象
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改修ケイカル板にも新品同様の試験をする予定だったが、表面のボソボソ感があまりにも酷いので、水性シーラーは除外した。
その代わりに表面を固める目的で、ハイパーシーラーエポをぬれ感がでるまで1~5回塗布した。
※上塗りは水性エバーロック2回塗り
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素地の劣化具合によって吸い込みや密着に変動があるはずなので、「ケイカル自
体の著しい劣化」と「塗膜剥離はしているが、ケイカル自体は比較的軽度の劣化」
の2 箇所で試験した。
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現状(塗膜剥離)
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既存塗膜を除去する前に碁盤目試験を行った。
道路側の側面下部付近
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上部内壁付近
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同じ隔て板でも場所によって密着にかなりの差があった。
改修時ケイカル板への試験塗装
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「比較的軽度な劣化(側面)」箇所の「ぬれ感」の違い
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ハイパーシーラーエポ1回目
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ハイパーシーラーエポ2回目
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ハイパーシーラーエポ3回目
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ハイパーシーラーエポ4回目
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ハイパーシーラーエポ5回目
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シーラー後密着試験(切り込みなし)
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「著しい劣化(下部)」箇所の「ぬれ感」の違い
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シーラー後密着試験(切り込みなし)
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改修時ケイカル板塗装 碁盤目試験
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「比較的軽度な劣化」箇所
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「著しい劣化」箇所
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碁盤目試験跡
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シーラー1回
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シーラー2回
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シーラー3回
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シーラー4回
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シーラー5回
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改修時ケイカル板塗装 結果まとめ
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素地自体の劣化が進行し過ぎると弱溶剤シーラーで表面を固めても、引っ張られた際に素地から持ってかれるので、いくら何度も塗り重ねても塗膜強度には限界が感じられた。
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手でこすって表面がボロボロと朽ちるようであれば、本来なら貼り替えるべきである。
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何らかの理由でやむをえず塗装でいくなら可能な限り弱溶剤シーラーを塗り重ねて、新品ケイカル板塗装の結果からも上塗りは非水のほうが強いかもしれない。
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記事提出者:丸信塗装